2010年12月30日

わさびとミカンと中村光(伊豆旅行記)

 伊豆に行きたい、という話をし始めたのは、いったい何年前だったろうか。
 前に住んでいた部屋には、伊豆のわさび田の写真が貼ってあった。
 Dちゃんが生わさびに興味を持っていたので、
「それなら、伊豆に連れて行って!」
 とプレッシャーをかけていたのだ。

 その後、引越しのバタバタで写真はどこかに行ってしまい、伊豆の話も立ち消えになった。

 ところが先日、引き出しの整理をしていたら。
 おや、懐かしい。わさび田の写真が出てきたのです。
 ちょうどDちゃんは夏休み(11月だけど)
「ねえ、伊豆に行かない?」
「えー でも今、わさびなんて採れないんじゃないの?」

 二人とも何となく「わさびの旬は春」と思い込んでいた。
 しかし調べてみると、わさびは一年中採ることが出来ると分かった。
 さらに旬は「晩秋」 今じゃん!!

 腰の重いDちゃんも、
「それならちょっと行ってみようか」
 と乗り気になってきた。
 
 伊豆情報をネットで集め始めた。
「へ〜 今の時期は、みかん狩りなんかもやれるんだね」
「え? みかん狩り? それやろう!!」
 急に積極的になるDちゃん。
 どうしたの。休みだからか。

 伊豆のどこを回るか決めてゆく。
 楽しい。

 ウキウキの旅行前日、の夕方。
 私はスーパーでハエにたかられた。
 すぐに払ったつもりだったが、なんと! 家の中でブーンという音が。
 連れて帰ってきてしまったらしい。

 頭にハエを付けたままレジで会計したりしたのか。
 恥ずかしいなぁ。

 このハエがなかなかしぶとくて、私とDちゃんは深夜まで格闘することになった。
 どうして旅行の前って何かしら事件が起こるのか。
 どうにかこうにかハエをやっつけ、就寝。 
 絶対寝不足……

2010年11月19日
 AM8:26東京駅発の、東海道新幹線こだまに乗る。
 発車前に大慌てで買った、豚肉弁当を食べる。

 Dちゃんは車内でも仕事をしている。
 会社の携帯電話でぽちぽちメール。
 ワーカホリックだのう。

 新横浜と小田原の間で、右側に富士山が見えた。
 今日は良い天気。

 私が座った左側の座席は日当たりが良過ぎて眩しく、カーテンを開けられない。
 でも熱海に着く少し前に覗いたら、真っ青な海が見えた。

 新幹線の中で読もうと、更級日記を持ってきた。
 この平安時代の日記は、旅行記から始まるのだ。
 千葉を出発し、神奈川や静岡を通って、京都に向かう。
 まさに同じ道。
 速度が全然違うけど。

 読書していると1時間なんてあっという間だ。
 乗り換えのため、三島駅で降りる。
 伊豆箱根鉄道に乗りたいのに、反対側に出てしまい、少し迷う。

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↑無事乗り場が見つかり、ホッ。

 中村光の漫画「聖☆おにいさん」に、主人公の二人(ブッダとイエス)が伊豆旅行をする話がある。
 彼らが乗っていたのがこの鉄道で、3巻の表紙にもなっている。
 中村光は伊豆出身なので、作品のあちこちに伊豆に関連する事柄が出てくる。
 それを確認するのも今日の楽しみ。

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↑修善寺駅行きの電車

 発車のベルがメロディではなくブザーなのに驚く。
 駅の看板が手書き風なのも味わい深い。

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 今日はメモ帳を持ってくるのを忘れてしまったので、PHSにポチポチと気付いたことを入力している。
 うーん、やりづらい〜
 こういう旅行記のメモは、紙と鉛筆が一番早いよ。

 途中、農業高校があり、牛がいた!
 すぐ通り過ぎてしまい、写真は撮れなかった。
 残念。
 
 東芝テックなど、工場や倉庫のような建物がいっぱいある。
 私も工場に勤めていた頃、三島あての送り状を作ったなあ。

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↑住宅地の奥に、緑。

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↑真ん中に、富士山らしきものが見える。

 終点の修善寺駅に着く。
 改札を出た後「聖☆おにいさん」に出てくる「伊豆の踊子看板」を探すが……
「どこだろう…… ああーっ!!」

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 ホームにあったのか〜 失敗したぁ
「のりが大きな声で叫ぶから、近くの子供がビクッとしてじっと見てたよ」
 子供よ、驚かせてすまん。
 でもそれくらい重要なポイントだったのだよ。 

 ここから修善寺温泉に向かう。
 東海バスのページ(これ)で時刻表や乗り場を調べておいたので、問題なくバスに乗れた。

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↑車内のシール。カエルが可愛い。

 修善寺温泉に到着後、みかん農園に予約の電話を入れる。
 ちゃんと今日も営業しているようだ(実は、事前に確認していなかった)
 2:00に行きます、と言う。

 次は、食べログで調べておいた「独鈷そば大戸」へ。
 この店は、名産の生わさびを自分で下ろせるのが特長。

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↑写真では見えませんが、とろろもあり。
 栗、かぼちゃ、わさびの茎の酢の物なども。

 おお、そばが美味い! わさびも美味い!
 調子に乗って、すったわさびを入れ過ぎた。
 辛い!

 そばを食べ終えた後、つゆにそば湯を入れて飲んだ。
 だしが利いていて、お吸い物のよう。

 二人とも大満足。
 残ったわさびをビニールに包んで持ち帰る。
 ごちそうさまでした!

 意外と時間が早いので、わさび田の方にも行ってみようかと、バスで「修善寺温泉入口」というバス停へ。
 「修善寺温泉」とは違うバス停なのがややこしい。
 もしここからわさび田のある筏場に向かう路線があればと思っていたが、よく分からなかった。
 何しろ、路線が六つもあり、終点だけが書いてある→これ

 こんな状態で二ヶ所は無理と、素直にみかん農園へ直行することに。
 さて、どれに乗れば良いのか。
 目的地と発車時刻だけではなく、終点も事前にチェックしておくべきだった。
 DちゃんがPHSで調べる。重くてなかなか情報が出てこない……

「あっ、分かった。分かったよ、Dちゃん!」
「何?」
「印刷して持ってきた時刻表と、同じ時刻に発車するのが正しい路線だよ。
 13時台 00 45
 14時台 25
 15時台 00 30
 堂ヶ島・松崎ってやつだ!!」

 難問を解いたような気分だったけど、大したことないか。
 次に来るのは、調べた時刻より早い、12:15発。
 デジカメと一緒に持ってきたフィルムカメラであちこち撮影し、時間をつぶす。

 ほぼ時刻通りにやってきたバスの運転手さんは、私たちが乗り込もうとすると、
「いいんですか?!」
 と驚いていた。
「いいんです!」
 どうやら旅行者の利用は珍しいらしい。
 他のお客さんはみな地元の人だった。

 ここから目的地の土肥温泉まで、45分。
 山とだんだん畑、田んぼの中をバスは進む。
 あちこちに小さな水の流れ。
 いくつかトンネルを抜けた。
 木の影がバスの座席の上を素早く通り過ぎてゆく。
 
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 無事「土肥温泉」に到着。
 遠くに来たな……
 帰りのバスの時刻表を撮影しておく。
 デジカメはメモ代わりに使えるので便利だ。
 
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 松の木立の向こうは、

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 海だ。

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↑松のそばに植えられていた植物の、長い葉っぱ。

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↑土肥温泉の街はこんな感じ。静かな温泉街だ。

 ここからみかん農園まで、海沿いを歩いてゆく。
 だいたい2kmほどだろうか。
 時間が足りなければタクシーでも頼もうかと考えていたのだけど、
「ここが今日のメイン」
 と言っても良いくらい、美しい風景が続いていた。

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 我々以外に旅行者はおらず、二人だけの時間がしばらく続いた。
 恋人たちの散歩にぴったりの場所である。

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「うーん、天然のサラウンドがいいねぇ」
 波の音が、二人の体を取り巻くようにゆったりと響いている。
「たまにはこういう音を聞かないとね。人工の音と違って、耳が休まる」
 Dちゃんが満足そうなので、私も嬉しい。

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 タッタッと足音が近づいて、ジャージ姿の中学生が我々を追い抜かしていった。
 どうやらマラソンの練習らしい。
 何人も、何人も、背中を見送る。

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 海を離れ、田んぼのわきを進む。
 これものどかな風景だ。
 車にしないで本当に良かった。

 2:00少し前に、象牙美術宝庫に到着。

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 ネットの、みかん農園を紹介するページには、ここの電話番号が書いてあった(これ
 きっと電話の取り次ぎをしているのだろう。
 入口まで行って、
「みかん狩りに来た者ですが、山光農園はどこですか?」
 と尋ねると、山奥に似合わないオールバックのお兄さんが、
「ここです。ご案内します」
「えっ……?」
「裏がみかん畑になっているんです」
 入場料300円×2人分を払い、持ち帰るためのみかんを入れるネットを500円で購入。
(値段間違ってたらごめんなさい。メモするの忘れたー)

 みかん狩りのお客は私たちだけ。
 もっと大勢でわいわいやるイメージだったのだが。

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↑近くの山が紅葉している。

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 その場で採ったみかんは食べ放題。
 甘酸っぱくて美味しい。
 スーパーで売っているみかんは、ただ甘いだけのものが多くて飽き飽きしていた。
 ここのは、酸っぱさが懐かしく、本当の味という感じがする。

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↑蜘蛛だっ

 存分にみかんを食べ、デジカメとフィルムカメラで写真を撮りまくり、ネットに食べられるだけのみかんを入れて、帰ることにする。

 帰り、象牙美術宝庫の人に挨拶すると、みかんネットを見て、
「それだけでいいのか?! もっと持っていっていいんだよ」
 と声をかけられた。
 オールバックの人とは違うおじさまだった。
「家で食べ切れないともったいないんで! 美味しかったです! ごちそうさまでした〜!!」

 あの素敵な道を戻ってゆく。
 夕闇がやわらかく降りてくる。

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↑可愛い実を発見。

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↑はじけるらしい

 土肥温泉のバス停から、修善寺駅行きのバスに乗る。
 長い道のりなので、うとうと居眠り。
 お客は少なく、男子高校生二人が乗って降りて行ったのを覚えている。

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↑修善寺温泉近くで見つけた「修善寺」という植え込み。

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 これは修善寺駅そばの川で、おそらく狩野川ではないか。
 中村光の漫画の中によく出てくる川だ。
 これを見るのも目的の一つだったので、達成出来て良かった。

 修善寺駅前のお土産屋さんで生わさびなどを買う。
(そのわさびについての感想の記事はこちら
 何故か小田原鈴廣のかまぼこがあった。
 修善寺のお土産というには、遠くないか……?
 美味しいので買いましたが。

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↑「伊豆の踊子看板」ようやく近くで撮れた。

 伊豆箱根鉄道で三島駅へ。
 新幹線の券を買う。
 指定席が売り切れていたので、グリーン車に乗ることに。

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 「聖☆おにいさん」と同じ展開。
 そこまで合わせなくてもねぇ……

 東京駅でご飯を食べて、日帰り旅行は終了。
 お疲れ様でした。

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↑東京駅近くの信号

 わさびも美味しかったし、風景も綺麗だったし、伊豆は良いところでした。
 修善寺温泉や土肥温泉以外にも、観光スポットがいっぱいあるみたい。
 ぜひまた行きたいです。
 
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posted by 柳屋文芸堂 at 22:26| 【旅行記】伊豆旅行記 | 更新情報をチェックする