2009年09月24日

五色沼旅行記

 二年前、Dちゃんと福島県の吾妻小富士に登った。
「また福島に行きたいね」
 という話になり、今回は五色沼を目的地に決定。
 前からちょっと憧れていたので。

 五色沼は、磐梯山の噴火で出来た湖沼群。
 いくつもある沼の総称で、「五色沼」という沼がある訳ではない。
 名前の通り、それぞれ色んな色をしているようだ。

 このあたりの地域を「裏磐梯」という。
 磐梯山の裏だから裏磐梯なのかな?
 裏磐梯の情報はネットで調べた。

 あれこれ読んで感じたのは、
「吾妻小富士より観光地っぽい」
 ということ。
 バスの運行回数が多く便利な反面、客が多くてのんびり出来ないのでは、と少々心配する。
「都会の喧騒を離れたい!」
 というのが山へ行く大きな理由の一つなのだから。

 混雑を避けるため、連休に入る前の平日(9月18日(金))に行くことにする。
 新幹線の切符は前日の夜にDちゃんがJRのサイト「えきねっと」で予約してくれた。
 直前だったのに、まだ二割引の席がある!
 そこに決定。

 その後、観光ガイドマップや現地のバスの時刻表を印刷。
 プリンタのドライバを入れるところから始めたので大変だった。
 (パソコンのOSを入れ直したばかりなので、そんなことに。ううう)
 PHSと写真機のバッテリーもしっかり充電。
 何だかんだやっているうちに午前二時。
 もっと早めに準備すれば良かった……

 旅行当日、6:30に起きて食器洗い。
 寝不足だけど、台所を汚したまま出かけるのはイヤだったので、ホッとする。
 最寄り駅の券売機で新幹線の切符を購入。
 (クレジットカードが使えるのね! 知らなかった)
 普通電車で大宮駅に出て、「なすの」という新幹線に乗った。

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 発車は9:02
 新幹線は飛び立つ直前の飛行機みたいな、キーンという音を立てて進む。
 ふわん、と離陸しないのが不思議な感じ。ずっと助走。
 窓際の席じゃないから、外があまり見えなくて寂しい。
 新幹線の中では私もDちゃんもマスク着用。
 インフルエンザが怖いので。
 宇都宮駅まではほぼ満席! 平日なのに。
 でも、その後は空いた。

 10:13に郡山駅到着。
 私はここで「女将漬弁当」を買うのを楽しみにしていた。
 小泉武夫が美味しそ〜うに本の中で紹介していたので。
 売店(福豆屋)を見つけ、嬉々として駈け寄ったのに!
 売り切れ〜
 がっかり。
 ちょうど朝用の分が無くなって、昼の分が入荷する前、という中途半端な時刻だった様子。

 仕方がないので小原庄助弁当を購入。
 JR磐越西線(ばんえつさいせん)のホームに行き、赤べこまみれの快速あいづライナーに乗る。

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↑ホームに行く途中の天井

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 自由席なのに、テーブル付きの座席。
 駅弁を食べるのに便利で良かった。

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 小原庄助弁当は内容というよりネーミングで買った。
 朝寝朝酒朝湯が大好き♪な小原庄助さんを他人と思えないので。
 ダメ男でありながら、明るく享楽的なところがステキよね。

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 さてこのお弁当。
 おかずにそれぞれさりげなく工夫があって、美味しかった。
 青のりでアクセントを付けたエビ天とか、ピリッとわさびがきいた昆布とか。
 あと、豆みそがうちの炒め納豆の味だった!
 カリカリして、かなり好みだったな♪

 郡山駅ではぜひ福豆屋の駅弁を!
 新幹線の上り線ホーム等にあります。

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↑車内から撮影した風景

 11:19に猪苗代駅到着。
 ここで、Suicaでは改札を出られないことが判明。
 新幹線の区間(大宮−郡山)しか切符を買っていなかったので、郡山駅では一度改札を出て、Suicaで入り直したのだ。
 現金で清算。
 切符で入れば良かったな。

 駅前で「磐梯東都バス 喜多方駅行き」の乗り場を探す。
 おお、それらしいバス停が。
 時計を見ると「11:25」
 時刻表を見ると「11:25」
 ……ってことは。
 うわ、この目の前のバス、すぐ出ちゃうのね!
 慌てて乗り込む。

 これは観光専用ではない、普通の路線バス。
 途中から乗ってくる地元の人の、のどかななまりの入った会話が聞こえるのも楽しい。
 バスの中で、麦わら帽子にお弁当に付いていたひもを結ぶ。
 これで風が吹いても飛ばなくなった。

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 バスはぐるぐると山道を登ってゆく。
 30分ほどで「五色沼入り口」に到着。
 整理券で後払い。750円。
 バス停そばにある裏磐梯ビジターセンターで「トレッキングコースマップ」を購入。50円。
 ここにはトイレもある。

 五色沼湖沼群を巡る「自然探勝路」を進む。
 森の入り口で、道を横切るへびを見た!
 が。
 写真機を出すのがトロくて撮れなかった……
 好きなのに、へび。

 今回、森の植物を見るには微妙な時期。
 葉っぱは少々疲れ気味で、さりとて紅葉もしていない。
 その代わり、やたらにキノコが生えていた!
 大量のキノコ写真を撮る撮る撮る……

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↑クリックすると見やすくなります。

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↑これはよく見ると、歯形が付いている。小動物が食べたのかな。

 道は、生き物の気配でざわざわしている。
 セミの声。
 鳥の声。
 カエルの声。
 風の音。
 時折すれ違う人の足音。

 前に登った吾妻小富士と、全く雰囲気が違う。
 あそこははげ山で、植物がほとんど生えていない。
 当然動物も少ない(トンボくらい)
 石ころを踏みながら、ただ、ただ、歩く。

 その近くにある鎌沼へ向かう道も、静寂に満ちている。
 人ともほとんど会わない。
 現世から離れる感覚があり、妙に宗教がかった気分になるのだ。

 (私は吾妻小富士の上り坂で「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のマーサー教を思い出した)

 Dちゃんはその、喧騒と正反対の空気を気に入っていたらしい。

 私にとっては、この五色沼の道の方が「山歩き」のイメージにぴったり合っている。
 重なり合う気配にキョロキョロするのが、楽しい。
 (吾妻小富士&鎌沼の精神性の高さも魅力的だったけど)

 可愛い小さな花もいっぱい咲いていた。

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↑売店横の花壇の花も混ざってる……
 クリックすると見やすくなります。 

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↑キノコ・花以外の植物あれこれ。
 クリックすると見やすくなります。

 沼の色は、青を中心としたいくつかのバリエーション、という感じ。
 薄青、青緑、黄緑、濃紺など。
 デジカメが苦手な色とも言える。
 紫の要素が抜けて、鮮やかさが失われてしまうのだ。
 単に私の腕が悪いだけかもしれないが。
 実物の方がずっと綺麗(悔しいことに)

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↑毘沙門沼の営業部長。コイを引き連れ(?)観光客にサービスサービス。

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↑一度口を開けてエサをもらえなかったら、スパッとあきらめる、潔いコイ。

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↑毘沙門沼。色が付いているのが分かるだろうか。
 この沼は五色沼の中で最も大きく、一番観光地化されている。

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↑毘沙門沼のはじっこ

「この色は『脳フィルム』に焼き付けるしかないね」
 シバッ!シバッ!っと目をしばたたかせて「まぶたシャッター」を切っていたら、
「虫がおびえるから、威嚇するのはやめて……」
 とDちゃんに止められた。
 物凄い形相になっていたらしい。
「植物も足を生やして逃げ出すよ」
 とのこと。

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↑赤沼……かな

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↑みどろ沼。たぶん。

「まさかバスクリンを入れている訳じゃないよね?」
「バスクリンは温泉に似せるために色を付けるんでしょ。ここだって温泉みたいな成分が入ってるんだから……」
「そっか、こっちが元ネタか!」
 そう、五色沼は「冷たい温泉」みたいな印象だ。
 ほのかに硫黄のにおいがする場所もある。

 他に感じたのは、苦いような土のにおい。
 ふわっとやって来て去っていった、花の蜜の甘いにおい。
 などなど。

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↑弁天沼

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↑弁天沼

 小さな滝もいくつか見た。
 目をつぶって、水の音を聞く。
 気持ち良い。

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 突然、キャーキャーワーワーと森の奥がかしましくなった。
 まさか熊でも出たか?
 身構えていると、なーんだ。
 前から小学生の遠足の列が来た。

 最初のうちはお互い干渉せずすれ違っていたのだが、途中の何人かが、
「こんにちは!」
 と挨拶してきた。するとその後の集団も、
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
 ひぃ、このまま列の最後まで挨拶し続けなければいけないのか。
 校長先生じゃないんだから……
 途中列が途切れ、干渉しない関係に戻った。ホッ。

 木の根や石で足元の悪い所も多少あるが、上り下りは穏やかだ。
 バリバリ登山道を歩きたい人には向かないけど、山道をのんびり散歩したい人にはぴったりだと思う。

 所要時間は1時間10分と「トレッキングコースマップ」にはある。
 しかしそれはおそらく、立ち止まらずにサクサク進んだ場合のことだ。
 私たちはのんびり景色を眺め、気になったものを見つけるたびに写真を撮っているうち、三時間以上経ってしまった。

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↑小さな生き物たち。クリックすると見やすくなります。

 夕暮れが近付くと、日差しが斜めになって、葉や水が素敵に輝く。

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 写真機を購入して約半年。
 今回初めて、首から提げるためのストラップが欲しいと思った。
 カバンから写真機を出し、撮影、すぐしまって、また出し……
 というのが面倒で。
 ずっと手に持ったままだと転んだ時危ないし。
 次お店に行った時、見てみよう。

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↑一番最後の柳沼

 15:30頃、自然探勝路の終点にある物産館に到着。
 うーん、結局ヘビは最初の一匹だけで、その後会えなかった……
 しょんぼり。

 軽食コーナーでどんぐりジェラートを食べる。
 濃厚な味わい。
「どんぐりをすりつぶして入れているんですか?」
 店員さんに聞くと、
「そうなんでしょうねぇ」
 って、自分で売っているのに、曖昧な!

 次のバスまで時間があったので、桧原湖(ひばらこ)へ行くことにする。
 車道をはさんだ向かい側に、すぐ水面が見える。

「あっ、ボートに乗れるみたいだね」
「アヒル?」
「アヒルもあるね」
「アヒルに乗りたいんですけど〜」
 ボート屋のおじさんは、
「そんなこと言わなくても分かってるぜ」
 という感じにささっと私たちを誘導してくれた。
 ちなみに30分1500円。

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 ちょうど夕焼けが近く、アヒルの中から写真機を伸ばしてパシャパシャやっていると……
 ん?
 波だ! 大波だ!!
 我らがアヒルちゃんが左右にタプタプ揺れている。
 その瞬間、自分の命でもDちゃんの命でもなく、写真機のことだけ心配していた。
 後から考えると、アホだ。

 どうも、モーターボートが近くに来ると、波が発生するらしい。
 次に大波が来た時、Dちゃんはアヒルを波に対して垂直にし、揺れを防いだ。
 もうアヒルマスターだ。 

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↑アヒルから撮影した磐梯山(たぶん)

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↑岸からボートの乗り場を撮影

 桧原湖とアヒルを満喫した後、物産館に戻ってお土産を買い、バスに乗るため裏磐梯高原駅へ。
 これは鉄道の駅ではなく、バス停の名前だ。
 ここから猪苗代駅まで870円。
 車内でうたた寝してしまった。
 疲れたかな。

 5:00ちょっと過ぎ、猪苗代駅到着。
 夕食を食べようと、事前に目星を付けていたそば屋「ラ・ネージュ」に電話をする。
 ところが。
 団体客が来るので食事は一時間以上後になる、と言われてしまった。

 他の店を見つけなければ、と観光ガイドマップを開くと。
 がーん!
 今の時刻だと、他のレストランはほとんど閉店ギリギリ。
 夜の営業はしていないのか!!

 事前の確認が甘かった。
 反省。
 悩んだ末、とりあえず郡山駅へ行くことにする。
 快速あいづライナーの中でDちゃんのPHSを使い飲食店検索サイト「食べログ」にアクセス。
 何度か圏外になって苦労しつつも、どうにか評判の良いそば屋「隆仙坊(りゅうせんぼう)」を見つける。

 駅前ではないので、Dちゃんは予定が立てにくいと不安がっていた。
 新幹線の席も取らなければいけないし。
 電話をすると、駅からそう遠くなく、すぐ食事も出来ると判明。
 二時間後の新幹線の切符を買い、えいやーっと向かうことにする。

 タクシーの運転手さんに店名と所在地を告げたら、迷わずサッと連れていってくれた。
 かかった時間は10分ほど。
 といっても距離はそれほどでもなく、駅前の混雑を抜けるのに手間がかかっただけ。

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 「隆仙坊」は古民家を改装し、古民具等を並べているため、独特の雰囲気がある。
 私は大好き。
 木枠の窓とか、みのとか唐傘とか青いだるまとか。

 Dちゃんは鴨汁そば、私は大根おろしそばを注文。
 他に「揚げそばがき」というのも頼んでみた。

 鴨汁はすごい具沢山。私のはさっぱりしている。
 そばは細く、平たくて(通常の半分。因業屋のうどんの千分の一)しこしこしている。
 実を言うと私、そんなにそば好きな方ではない。
 あのポソポソ感が苦手なのだ。
 でも、あのつるんとした食感なら、いくらでも食べられそうだ。
 (注:因業屋とは、埼玉県川口市にあるそば屋。ここのうどんはすいとん並みに太い)

「普通あれだけ細ければコシを失うはずなのに、しっかりしていた。(薬味として出された)大根おろしと黒七味がよく合っていて、もっとそばだけで食べたかった」
 と我が家の海原雄山も満足した様子。

 「揚げそばがき」はおもちをさらにふんわりさせたような食感だ。
 アツアツのところを、わさび醤油でいただく。
 こんなの食べるの、初めて。
 美味しい!

 予定は変わったけど、素敵な店に行くことが出来て、良かった。

 新幹線の時間まで余裕があったので、徒歩で郡山駅に戻り、改札外にある大きな土産物屋に入った。
「あっ、地ビールがあるよ!」
 「みちのく福島路ビール」と「猪苗代地ビール」の、色んな種類のビールがそろっている。
 それぞれのメーカーのヴァイツェンを購入。
 他に、酸味のある日本酒というのも買ってみた。

 駅ビルの本屋をのぞいた後、改札に入る。
 一応駅弁屋さん(福豆屋)を確認するが……
 閉店していた。
 いつか会える日が来るのかな、女将漬弁当。

 改札内にもお土産屋があったので「わたなべのくんせい卵」10個入りを購入。
 前回の福島旅行でも買って、すごく気に入ったのだ。
 帰りの新幹線はピカチュウまみれだった。 

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 くんせい卵を新幹線の中で出す。
 一つ食べた後……
 もう一つ、どうしよう。
 万が一新幹線が脱線でもして、
「くんせい卵が食べたかったのに……!」
 と悔やむのはイヤだったので、もう一個食べることにした。

 脱線も炎上もせず、新幹線は無事大宮駅に到着。  
 そのまま普通電車で帰宅した。

 福島へは、泊まりで行く人が多いのだろうか。
 意外に、日帰りでも楽しめる。
 忙しい人におすすめだ。

 次はどこに連れて行ってくれるのかな〜?

(おわり)

撮影:GR DIGITAL II
posted by 柳屋文芸堂 at 01:02| 【旅行記】五色沼旅行記 | 更新情報をチェックする