2019年12月21日

この万年筆でいったい何を書くつもりなんだ(その3)

三、ペン字をやってみた



 万年筆にハマってから、手書き文字を時々ツイッターに上げるようになり、字の正解が分からなくなっているのに気付いた。あまりにも長いこと、メモ書きのようなものしか書いていなかったせいだ。ふだん目にする活字と、手書きの綺麗な字は、けっこう形が違う。
 試しにペン字の本を買って練習してみたら楽しかったので、ご紹介。

☆鈴木栖鳥「いもづる式だからすぐ上達! 感じのいい字になるペン字レッスン帳」エムディエヌコーポレーション
 自分の文字を美文字に改造するのではなく、字のバランスを取るコツを教えてくれるところが良い。どこに気をつければ字のデザインを整えられるか、赤字で簡潔に示されている。
 文字一つ一つの形だけでなく、文全体を綺麗に見せるための紙面の使い方も丁寧に説明されているので、レイアウトの勉強にもなる。縦書き・横書き両方あり。
 万年筆でも書きやすい紙質。平綴じで、机の上に真っ平らに置けないのが少々残念。

☆青山浩之「美文字クリニック練習帳 」NHK出版
 いもづる式より基礎的な練習が出来る。中綴じで平らに置けるのも良い。ただ紙が万年筆向きではなく、インクがにじんで字から毛が生えたようになるのが気持ち悪い。

 通信教育や教室はお金と時間がかかってしまうが、本屋に行くと500円〜1500円ほどでペン字の本が買える。万年筆にハマったら、遊びのつもりで一冊買ってみるのも良いと思う。

 いもづる式をやりながら、
「私が書きたいのは、丸文字ではなく楷書だったんだ」
 としみじみ思った。もともと私は書道を習っていて、子供の頃は字が下手な方ではなかった。ところが小六の時に、担任教諭から、
「新聞と同じ字で書け」
 という謎の指導を受けてしまい、字体が混乱した。新聞のフォントごと「天声人語」を書き写す宿題をやらされた。大人の文字になる大事な時期だったのに……

 書道教室の楽しさと、そこで得たものを見失っていく寂しさを、まさか四十二歳になって思い出すとは。
 書道教室には大先生(おじいちゃん)と先生(その娘)がいて、どちらも優しく穏やかだった。お手本の「日光見物」を、
「ひひかりみもの?」
 と読んで呆れられたのが懐かしい。
 先生はお元気だろうか。大先生はとっくに亡くなってるだろうな。

 ツイッターで「いもづる式」を最後のページまで練習したと報告したところ、鈴木栖鳥先生が直接励ましてくれた。書道教室の経験はペン字にも役に立つと言ってもらえて嬉しかった。
 鈴木先生は書き方の動画も配信しており、時々猫のしっぽの邪魔が入る。