2015年12月29日

死神(その7)

  あとがき

 落語の中では珍しいのではないかと思うのですが、「死神」のストーリーやオチは落語家さんによってずいぶん違います。演じる人の人生観がにじみ出て、誰のを見ても、何度見ても、飽きない。
 落語と最も大きく変えたのは、時代と、死神の性格です。
 落語「死神」の舞台は江戸時代なのかなぁ。主人公はいきなり医者として働き始めます。医師法みたいなものはなかったんですかね。時代を現代に移し、無免許でも逮捕されなさそうな「スピリチュアル・アドバイザー」にしてみました。
 落語「死神」の死神は、もっといかにもな死神。おじいさんで、汚れた服を着て、化け物のような雰囲気で観客を恐怖に陥れる。
 この作品の死神は「一見良い人風だけど、実は」なタイプ。自作語りになってしまって申し訳ないのですが、私の小説「贋オカマと他人の恋愛」などに出てくる周平という登場人物の「生まれなかった弟」という設定です。周平がさりげなく持っている邪悪な部分を、この作品では前面に押し出せたので楽しかった♪
 落語や能、歌舞伎など、古くから愛され研ぎ澄まされた物語には、人智を超えた力強さがあるように思います。今回のように翻案したり、自作を構成する際に参考にしたりすると、自分一人では辿り着けない場所にふっと連れていかれる感触がある。時々そういう物語の宝に頼りながら、自分の描けるものを広げていきたいです。
 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

  柳田のり子
 
posted by 柳屋文芸堂 at 12:17| 【翻案小説】死神(落語) | 更新情報をチェックする