2014年10月11日

邯鄲(その34)

 ホームに降りると、池袋行きの急行が出発する直前だったので飛び乗った。
「お疲れ様、メグ」
「周平も」
 お客のいない車両のはじに、肩を寄せ合って座る。
「あたし、咲ちゃん大好き」
「えーっ あんなののどこが」
「周平に似てるとこ」
「顔だけね」
「お母さんと周平と咲ちゃんは完全に同じ顔だよね」
「父親だけが違うんだ。川原で拾って来たんじゃないかって咲がいじめてた」
「お父さんは後から拾えないよねぇ」
「そういうことを言っても父親は咲を叱らないんだ。だからつけ上がって横暴になっちゃって」
「でもやるべきことはやってくれるじゃない」
「まあね」
 メグは僕の肩に頭を載せた。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:17| 【中編小説】邯鄲 | 更新情報をチェックする