2014年10月11日

邯鄲(その35)

「顔はまるっきり違うけど、お父さんと周平も似てるね」
「一度も思ったことない。どこらへんが?」
「女の愛の深さを、ちっとも理解してないところ」
 僕は姿勢を正した。
「メグの気持ちを理解出来てない、ってこと?」
「さあどうでしょう」
 メグは目をつむって微笑んでいる。
「父親に僕たちの関係をちゃんと説明出来なくてごめん」
「いいよ。今さら混乱させるの可哀想だし。でも今日、お父さんをお父さんって呼べて良かった」
 メグは僕の肩を引き寄せ、再び頭を載せた。
「寝ます!」
「早起きしたから眠いんだね」
 家に帰ったらメグを抱き締めよう。その感触を腕に感じながら、僕もメグにもたれて眠りについた。

 (終わり)
posted by 柳屋文芸堂 at 23:16| 【中編小説】邯鄲 | 更新情報をチェックする