2014年10月05日

オカマ先生の恋愛レッスン(その9)

 中学、高校の同級生たちとは、年賀状のやり取りしかしていない。会っても話が合わないのでこちらから連絡を取ることはないし、向こうからメールや電話が来ることもない。みんな仕事や子育てで忙しいのだろう。
 二十代の頃には何度か飲み会や結婚式に呼ばれた。なごやかにおしゃべりしているように見えて、さりげなくお互いの幸福度を比較している。彼氏はいるか。結婚の予定はあるか。先に出産した子がいると、どれくらい大変だったかと聞きたがる。
 腹を切られた。股を切られた。縁を切られた。そんなことどうだっていいじゃないか。
 女ってほんと変わらねぇな、と呆れながらビールを飲んでいると、仲間はずれをつくってはいけないと思ったのか、私にも話を振ってきた。
「マルちゃんは彼氏いるの?」
「いないよ」
「寂しくない?」
「別に」
 男と付き合ったり別れたりして面倒じゃない? なんて私は尋ねないのに。違う種族を見るような目で見られて、すぐに私の存在は透明になった。
 私が結婚したことを知ったら、彼女たちはどれほど大騒ぎするか。
 あのオトコオンナのマルちゃんが!
 しかも相手はオカマ!
 藍川さんから渡辺さんまで、ウワサは女の連絡網を光より早く伝わってゆくだろう。尾ひれが付き過ぎて元々どんな話だったか分からなくなった頃、私とキミヤは別れているかもしれない。
posted by 柳屋文芸堂 at 21:49| 【中編小説】オカマ先生の恋愛レッスン | 更新情報をチェックする