2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(12/49)

 オカマバーでまず一番にあたしを気に入ってくれたのは、カップル客の女性だった。ジュースとお酒を持ってゆき、震える声で自己紹介すると、
「おう、もっと近う寄れ」
「は、はい」
「やーん、その恥じらいがたまらないー」
 いきなり抱きつかれた。
「怯えてるだろ! すみませんね、こいつオッサンで」
「オッサンではない! 殿様じゃ!」
「酒飲まないでこれだもんなー」
「オカマがいれば酒などいらん!」
 何だか仔犬のようにもてあそばれて、二人は大満足で帰っていった。
「あんなで良かったんですか」
 とナナさんに尋ねると、
「女って不思議なくらいオカマが好きなんだよな」
 と言って首を振った。答えになっているのかよく分からない。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:54| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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