2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(18/49)

「声に出して説明すると、自分がいかに夢見がちな人間か分かって呆れてしまうな」
「いえ、素敵だと思います」
 周平さんは安心したのか微笑んで、話を続けた。
「しかし事業計画としてはいかにも弱い。店として成功させるには、村上春樹の小説に出てくるような食事も出したい。と思っている時に、七瀬から板前さんの話を聞いた」
「村上春樹って、お寿司屋さんの小説を書いているんですか」
 沈黙。テーブルの空気が固まる。
「あったかなぁ、寿司屋の話。水丸さんとの対談で出てきた気もする」
「ごめんなさい、あたし小説はほとんど読まないんです」
「いや、いいよ。村上春樹の作品に出てくるのは、軽食が多いね。スパゲティとかサンドイッチ。あとドーナツ」
「あたし、洋食の勉強はしてないですよ」
「調理師の免許は」
「持ってます」
「十分!」
posted by 柳屋文芸堂 at 00:50| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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