2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(28/49)

 周平さんの柔らかい笑みを見て、あたしも嬉しくなる。全ての料理を出し終わり、緊張が解けた。周平さんは齧りかけのドーナツを眺めながら言う。
「ねえ、もしかしてさっきのサンドイッチのパン」
「自分でこねて焼いてます」
「徹底してる」
「いつもやってることですから。作れるものは買わないんです」
 ドーナツの真上で視線がぱちんと合った。
「僕は君から多くのことを学ぶ気がする」
 あたしは耐え切れず下を向いた。
「君の料理を引き立てられるよう、店作り頑張るよ」
 その日から周平さんは春樹カフェを「僕たちの店」と呼ぶようになった。単なる雇われ料理人ではなく、共同経営者みたいに扱ってくれる。でも勘違いしちゃいけない。出店費用は百パーセント周平さんが出すんだから。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:36| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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