2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(35/49)

「都会の真ん中で痴話喧嘩したってぇ」
 ナナさんがさも可笑しそうに言う。
「周平さん、まだ怒ってます?」
「怒ってない。弱ってる。
『汚れた大人なのがバレて嫌われたー』
 だってさ」
「周平さんは、本当に汚れた大人なんですか」
 あたしは真剣に尋ねているのに、ナナさんはギャハハと下品に笑う。
「見たまんまだから安心しろ。一皮剥けば世渡り下手な文学青年だ。しかし不動産屋で値下げ交渉するなんて成長したなー 大学時代は新聞屋の勧誘も断れなくて、朝日新聞と読売新聞を両方取ってたんだぞ。あの二つの社説を読み続けたら頭が分裂しそうだ」
「きっと周平さんはそうやって新聞をいっぱい読んで、立派な大人になったんです!」
 あたしが両手のこぶしを振って力説すると、ナナさんは再起不能になるほど笑った。腹が痛い、腹が。産まれる〜 とか叫んで。


posted by 柳屋文芸堂 at 00:30| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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