2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(42/49)

「店が完成したら全部持っていくんだ。今は足の踏み場もなくて申し訳ない」
 本をどかし、ベッドを背もたれにして床に座った。電気ストーブのスイッチを入れる。
「焦げ臭いね」
「ほこりが焼けてるんじゃないですか」
「危ないから消そう。あんまり使ってないんだ。しかしこの家の暖房器具はこれだけでね……」
 周平さんは押入れから紺色のはんてんと分厚いマフラーを出してくれた。
「想像以上にもてなしに向かない家だな。駅に戻って喫茶店行く?」
「いえ、ここが良いです」
 周平さんの服を着られる喜びに、じんとしていた。見上げると、天井まである本棚に本がぎっしりつまっている。周平さんが読んだ物語。周平さんの体と心。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:24| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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