2013年03月23日

オカマ板前と春樹カフェ(47/49)

 見つめ合って、軽くキスをする。
「君は僕を好きになってしまったんだね」
「気づいてないの、周平さんだけでしたよ! あたしはオカマバーでさんざんからかわれてっ」
「僕も少しは考えたよ。でも自分を好きになってくれる人がまた現れるなんて、上手く信じられなかったんだ。見ての通り僕は全然かっこよくないし、面倒臭がりでモテる努力をしないからね。そんな暇があったら本の一冊でも読みたいと感じてしまう」
「でも優しい」
「それだけだ」
 頭を撫でられて、ふと思いつく。
「角刈りに戻しましょうか?」
「伸ばしたいんでしょ」
「自分の髪でポニーテールにしたいんです。でも」
「きっと君は女性的になった方が落ち着くんだ。無理せず好きな自分になればいい。それにポニーテールは清潔感があって料理にも向いてる」
 あたしは周平さんを好きになった本当の理由を理解した。優しさだけじゃないんだ。
「これからもよろしくお願いします」
 真面目に言ったのに、周平さんは大笑いした。
「こちらこそよろしく」
posted by 柳屋文芸堂 at 00:19| 【中編小説】オカマ板前と春樹カフェ | 更新情報をチェックする
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