2013年03月05日

愛(2/4)

   類似

 あの日に似ている
 暑くも寒くもない良い気候で
 雲一つないのっぺりとした青空から
 ヘリコプターのパタパタ飛ぶ音が聞こえ

 そうだ、これは
 あの人とまだ上手くいっていた頃の
 記念日でも何でもない
 平凡な一日に
 よく似ている

 私はまだあの人の神経を逆なでせずに済んでいたし
「愛している」と言う必要も
「愛している?」と聞く必要もない程
 お互いの愛情を信じていた

 穏やかな空気の中にたゆたっていたあたたかい関係は
 その後やって来た冬の寒さに耐え切れず
 簡単に
(本当に簡単に?
 泣いてわめいて痩せこけて
 一生一緒にと誓った時、
 一年もたないと想像したか?)
 壊れてしまった

 あの日と同じように穏やかな
(違う男の)
 愛に包まれて
 私はあの日の傲慢を思う
 愛してさえいれば
 幸せに出来るだなんて

 あなたの幸福のために何をすれば良いのだろう?
 私はヘリコプターのパタパタの中
 考えに考えて
 そうだ、ていねいに部屋を掃除しよう
 それから
 美味しい夕ごはんを作ろう
 と決める

 きっと大丈夫、よく似ているけれど
 これから来るのは冬じゃない 
 日一日と増してゆく蒸し暑さの中
 私はあなたの幸福のために
 精一杯努力する

 無駄でも全然かまわないから
posted by 柳屋文芸堂 at 02:26| 【詩】愛 | 更新情報をチェックする