PHSのアラームで、7時におはよう!
↑晴れた〜
身支度をして1階にあるレストラン「ヴァン」のビュッフェへ。
朝食なしコースだから料金が必要。
1人1850円。
東京だったら驚かない額だけど、うどん屋と比べちゃうと高ーい!!
ここにもうどんがあったので、食べてみた。
うーん、ちょっと硬いな。
おまけに醤油をかけ過ぎてしまって、さんざんな結果に。
高いのにイマイチなんて、東京のうどんじゃないんだから……
(※私の勘違いだったことが、次の日の朝食で判明します。
この文章だけ読んで「ヴァン」って美味しくないんだ、と思わないでね)
部屋のハンドソープが肌に合わず手荒れが悪化してしまったので、レストランの入り口でオリーブ石けんを購入。
これから向かう小豆島の商品である。
何だかワクワク。
部屋を片付け、いらない物は置いたままにして(今夜もここに戻ってくるから)9時頃、フェリー乗り場へ向かう。
ホテルからは徒歩5分ほど。
すぐ着く。
↑甲板から撮影。真ん中のビルがホテルクレメント高松。
船に乗ってみると割と空いていて、みんな寝転んだりしてくつろいでいる。
出発を知らせる音楽が演歌でびっくり。
内装も濃いめ。
一番上の甲板で何枚も写真を撮った。
見晴らしが良く気持ちいい。
船なんてなかなか乗れないので珍しく、上に行ったり下に行ったりキョロキョロ。
Dちゃんは私のようにはしゃがず騒がず、室内で待っている。
全体を3周くらいしてから座席に落ち着き、人生初の瀬戸内海をあらためて見つめる。
小さな島々。
小舟の釣り人。
海上を渡る鳥。
ああ、のーんびりした気持ち!
高松港から小豆島へは約1時間。
「東京ー高松」と「高松ー小豆島」にかかる時間がほとんど同じというのも面白い。
田丸公美子も「シモネッタの本能三昧イタリア紀行」の中で、
さまざまな旅のアクセスの中で、最も旅情が刺激されるのは海から船で入る方法
と書いている(彼女が船で向かったのはシチリア島)
私は海無し県の埼玉育ちなので、余計に心がふわんと浮き立つ。
だんだん陸にも見える小さくない島に近付いて……
これが小豆島なのかしら。
ハッ!
到着を知らせるのも演歌かよ〜
という訳で、小豆島の草壁港に到着。
フェリー乗り場から少し奥へ入ると、バス停があった。
「あれー? これは別のところに行くバスだなー」
などと首を傾げていると、
「どこ行くん?」
と地元のおばちゃんが声をかけてくれた。
「『かかんけい』です」
「『かんかけい(寒霞渓)』ならあっち!」
向かい側のバス停だった。
「『かんかけい』ですね」
「そう『かんかけい』!」
親切にしてもらって嬉しかった。
風景も高松よりずっと田舎っぽくて(何度も書くが高松はほとんど東京である)
旅行に来たー♪ という感じがする。
墓のそばでもないのに石屋が多くて驚く。
(小豆島は古くからの石の産地で、豊臣秀吉も大坂城を築く時に使用したそう。
全然知らなかった)
バスで寒霞渓に向かう途中、問題になっている「新内海ダム」の工事現場を見つけ、心を痛める。
よくある「無駄な公共事業」で、特に必要とされていない巨大ダムを作る計画。
小豆島を愛する人たちが反対運動をしているのを、旅行前、寒霞渓について調べている時に知った。
原子力発電所もそうだけど、日本にはこういう悲しい話が多過ぎる。
「建てたがる人々」
を止めるにはどうすればいいのだろうか。
はぁ……
旅行中はあんまり暗いこと考えたくなかったんだけどな。
ダムに反対する理由は色々あって、観光客である私に一番関係があるのは、
「景観を壊す」
というもの。
確かに寒霞渓は、向かう道まで美しい。
咲き乱れる藤やつつじ。
あっ
「サルだー!! サルまみれ!!」
バスの横をサルが何匹も何匹も走ってゆく。
「子ザル可愛いー!!」
残念ながら写真は撮れなかった。
11時頃、ロープウェイ乗り場である紅雲亭に到着。
↑ここで飼われているようだ。
スロープ↑を通って乗り場へ。
ゴンドラが上がってゆくと、角度の変化で瀬戸内海の島が沢山見えてくる。
これは素晴らしい。
着いた先の、展望台からの眺めも良かった。
ここで総工費1億円のトイレに入る。
確かにおしゃれで綺麗。
お土産屋さんで買い物をして、遊歩道を下りてゆく。
「ねえ、私、サイダーを買っちゃったんだ」
「それは、大変なことになるだろうねぇ」
この暑さと振動。ヤバイな……
と「醤油サイダー」を飲むことに。
うん、まだ吹き出さない。
しかしこれ、醤油か?
ちっともしょっぱくないよ。
初心者向けの進みやすい道じゃーん、と思っていたら、重なる岩の天然階段が滑って怖かった。
鎖をぐっと握り、慎重に前へ。
「あっ、ごめん!」
「?」
「あー のりに謝ったんじゃないんだ。間違えてトカゲを蹴っちゃってね。
手足をバタバタさせながら落ちてゆくのが見えたよ……」
「ひどいー」
無事でいてくれ、トカゲさん。
木漏れ日に目を細める。
ゆらりゆらり揺れる葉の影。
まだ醤油サイダーでお腹カポカポだけど、心配なので「オリーブサイダー」を開ける。
そう、2本も買っていたのです。
ぶしゃっ
ぎゃーっ
思った通りの展開。ベタベタ。
でも味はオリーブサイダーの方が美味しかった。
岩の階段を過ぎると、その後は古いコンクリの道が続いていて、楽に歩けた。
途中、むにっと何かを踏んでしまった。
「ぎゃーっ 踏んだー」
Dちゃんに見せると、
「まだ付いているから岩でこすって取りなさい。このあたりは野生動物が出るみたいだからね」
バスで見たようなおサルさんかな。
道は意外と短くて、予定より1時間早くロープウェイ乗り場に戻ってしまった。
「どうしようか」
「もう一度展望台に行って昼ごはんを食べようか」
「うーん」
なんて言いながら近くの遊歩道をウロウロ。
後から考えると、ここで昼めしを済ませておけば……
2時頃、バスに乗って草壁港へ。
あちこちでダム反対の看板を見た。
港に着いたらレンタサイクル。
フェリーの切符売り場で頼むと、鍵を二つ渡してくれた。
オリーブ園の方に向かって、海沿いを走る。
青い風景を存分に楽しめる、気持ち良い道だ。
オリーブ園にはレストランがある。
お腹ペコペコ……ん?
何だか店内がガランとしている。
もしや。
「あのー 食事は出来ますか?」
「ランチは3時までなんですよ」
時計を見ると、3時15分。
あ〜れ〜
仕方がないのでオリーブのソフトクリームを食べる。
「『井上誠耕園』に行ってみようか」
空港に置いてあったチラシには、手延べパスタの美味しそうな写真が載っていた。
オリーブ園の人にここから井上誠耕園までどれくらいかかるか聞いてみると、
「車なら5分ですね」
との答え。
「それなら自転車で20分くらいじゃない? 行ってみよう!」
草壁港からオリーブ園までは爽やかな道だったが、ここからは山道になった。
海から離れてしまって風が抜けず、空気が淀んでいる。
おまけに車がびゅんびゅん走っていて、排気ガス臭い。
長い登り坂を過ぎると、さらに長い下り坂。
いくら下っても下っても、着かない。
当然、帰りはこれを登ることになるわけで……
Dちゃんは自転車を道のわきに止め、言った。
「フェリーの時刻に間に合わなくなるから、戻ろうよ」
「えーっ」
小豆島にもう一度来られるか分からないのに。
井上誠耕園に行けるチャンスは人生で今だけかもしれないのに。
「いやだーっ 行きたいー! 行きたいー!」
子どものようにグズる柳田のり子(34歳)
草壁港で借りた自転車を、井上誠耕園の近くにある池田港で返して、そこから高松に帰るという方法もあるのではないか。
公衆電話で草壁港に問い合わせると、あっさり×
空っぽの腹を抱え、来た道を戻ることにする。
あーあ。しょんぼり。
草壁港に戻って、うどん屋「三太郎」を覗いてみる。
「終わっちゃったみたいだね」
「どうしようー」
と嘆いていたら、
「食べるお店ですか?」
犬を散歩させているおばちゃんが声をかけてくれた。
「それならそこ入ったとこの、のれんの店がやってますよ!」
さんばし食堂という古めかしいお店だった。
お腹ペコペコのクタクタでなかったら、入るのを躊躇ったかもしれない。
今はたった一つの救いみたいに、輝いて見える。
私は小豆島名物のそうめん。
Dちゃんはそばを食べた。
美味しかった。
フェリーの切符売り場でオリーブオイルや醤油などを買い(まるでスーパーの買い物のようだが両方ともここの名産品である)時間ギリギリ、大慌てで高速艇に乗る。
これも演歌で出発だった。
小豆島ともお別れ。
寂しいなぁ。
結局見ること叶わなかった井上誠耕園。
たどり着けなかった場所を残してくるのも、思い出になるのかもしれない。
それにしても、小豆島のおばちゃんは本当に親切だった。
寒霞渓のロープウェイはバリアフリーになっていて、車椅子の人も展望台に来ていたし、
「観光客を優しく迎えてくれる島」
という印象。
残念なのは空気の悪さ。
田舎ののどかな風景が広がっているのに、臭いだけは都会と同じなんだもの。
あの行って戻った長い山道も、排気ガスさえ無ければ、
「ま、ステキなサイクリングだったし♪」
と思えただろうけど、あれじゃあ無理。
これから小豆島へ行く人に、レンタサイクルはおすすめしない。
車で来るのもさらに空気が悪くなるのでやめてー と思う。
バスなどの公共交通機関を使って欲しいな。
(小豆島オリーブバスのページはこちら)
↑高松港から瀬戸内海を撮影。お名残り惜しや。
ホテルに戻り、1階にあるラウンジ「フォンティーヌ」で小松菜のケーキを食べる。
ちゃんと香川県産の小松菜を使っているのが心憎い。
Dちゃんは、
「すごく小松菜の味がする。茹でた小松菜の!」
と言うのだが私はあまりよく分からなかった。
その後、うどんを食べるために高松の街に出たら、雨に濡れた。
昼間は晴れていたのに。
香川県は雨が少ないことで有名なのに。
やっぱり我々は最強の雨男と雨女だ。
今日選んだ店は「鶴丸」
カレーうどんが美味しいと評判。
どれどれ。
カレー味でごまかすのではなく、ちゃんと麺の味が楽しめる。
硬さは昨日行った「さか枝」と「さぬき麺業」の間くらい。
ここはその場で切った麺を茹でてくれる。
その様子を見ながら食べられるのだ。
味も良いし、何より夜遅くまでやっているのがありがたい。
高松のうどん屋の店仕舞いはたいてい早いのである。
お目当ての店がある人は、閉店時刻をしっかり調べておこう。
夜の高松もなかなか賑わっている。
すれ違う人のほとんどが関西弁。
ここは関西圏なんだろうか。
四国には四国独自の方言があるような気がしていたので(坂本龍馬みたいなの)軽くカルチャーショックである。
まあ何にせよ、標準語しか使えない私にとって、方言は旅情を誘う。
商店街にはこういう謎の像がいっぱいあった。
何だったんだろう。
ホテルに戻ってシャワーを浴び、12時半頃就寝。
夜中、もう帰っちゃうんだ、と思ったら寂しくてあまり眠れなかった。
もっとああすれば良かった、こうすれば良かった、と考えてしまったり。
行けなかったカフェの手延べパスタは美味しい……
(3日目に続く)
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