(「鳥取旅行記(ビール編)」からの続き)
2011年3月21日(月・祝)
7時前に起床。
自然と目が覚めた。
外を見ると、曇って霧が出ている。
大山も見えない。
雨が降っているかは不明。
せめて雨だけでも降らないでおいて欲しいな……
他の風景も見たくて、エレベーターのそばの窓のところに行く。
やっぱり曇ってる(当たり前だ)
部屋に戻ると、Dちゃんも起きていた。
私は着替えや片付けなど先に済ませていたのでボーッとしていたら、
「することがなくて手持ち無沙汰なら、体操するといいよ」
何故待たせた上にやることまで指示するか?!
ボーッとしていたってええじゃないかーっ
という訳で、体操してこの旅行記のためのメモを書いた(結局、指示に従う私)
朝ごはんはバイキング。
鳥取産の山いもを使った和え物が美味だった。
10時頃、タクシーを呼ぶ。
うわぁ、同じ運ちゃん4回目!
もうお馴染みという感じで、話がはずんだ。
となるとやはり、震災の話題が出てくる。
旅行中は地震を忘れたかったのだが、仕方ない。
震源からどんなに遠くても、日本人はみな、この不幸が頭から離れないのだ。
運「あんなになっちゃうなんてね…… この夏、女房と一緒に東北をまわろうって話してたんだけど」
私「大丈夫ですよ! ニュースを見ていると、東北地方の右半分が全部海に飲まれちゃったような気分になるでしょう」
運「いやぁ、本当にそうです」
私「実際は、仙台市でも海辺でなければ建物が無事なところがあるそうですから。夏頃には、きっと色々復旧して、旅行だって楽しめますよ」
運「そうだと良いんですけどねぇ」
おじさんは観光タクシーのように鳥取のことを教えてくれた。
このあたり(鳥取県西部)は出雲文化圏で、古墳なども沢山残っている。
鳥取名産のらっきょうは風邪に効く。
桜庭一樹の出身地は〇〇で……
(公開されている情報と違うので伏せる。どちらが正しいのかは分からない)
等々。
私はお礼として、関東の話をした。
私「多摩川では熱帯魚が繁殖しちゃって、タマゾン川って言われているそうですよ」
運「タマゾン川!!」
私「東京は人がいっぱい住んでいるでしょう。みんなお湯を使うから、川に入る排水の温度が高くて、熱帯の川みたいになるんです。そこにペットとして飼われていた熱帯魚が捨てられて、増えちゃう」
運「へえーっ 面白いですねぇ。タマゾン川!!」
喜んでくれて良かった。
ま、立派な環境破壊だがな。
運ちゃんはかなりスピードを出し、後ろを向いておしゃべりしながら運転する。
ちと怖い。
この道はほとんど庭同然なんだろうけど。
11時少し前に米子駅に到着。
移動が予想外に楽しかった。
おじさん、ありがとう!
境港へ行くため、境線の時刻表を見ると、次の電車は11時半。
切符を買い、本屋を探す。
まずは駅構内の小さな店で水木しげる「昭和史」1、2巻を購入。
次に駅前のスーパー、サティの店で「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を。
直前とはいえ、境港が舞台になっている本を手に入れられて、良かった〜
ニコニコしながら駅に向かっている途中。
「アーッ!」
「どうしたの、急に大声出して」
「昨日、みるくの里で買ったチーズ、ホテルの冷蔵庫に置いてきちゃった」
電車で食べようと思っていたのに……
あうー
「まあ、しょんぼりも思い出のうちだよ」
そうDちゃんに慰められたけど、食べられなかったチーズは、なんて美味しそうなんだろう。
境港に向かう電車は、0番線ホームから出る。
妖怪の街への出発口にぴったりだな。
古い車両に感激。
走り出すとけっこう揺れて、連結部分の鉄板がガシャンガシャンと大きな音を立てる。
まるで馬車に乗っているようだ。
↑目玉のおやじ列車とすれ違う。うおお。
車窓から見える風景は、住宅地と畑。
晴れていれば綺麗なのだろうが、曇りだと冴えない。
境港駅を降りると…… まあ、普通の街。
しかし、ありとあらゆるものが鬼太郎。
↑ポストにまで!
↑河童の三平
↑死神
うーむ、駅前からすごいな。
ここからかの有名な、水木しげるロードを進んでゆく。
↑街灯が目玉のおやじだよ。
↑妖怪神社。上に引っかかってる(なんて言ったら怒られるな)のは一反木綿。
↑水流でくるくる回る目玉のおやじ。誰かがいじったのか、高速回転していた。
↑タクシーまで……!!
↑子なきじじい。雨に濡れて味わい深くなっている。
そう、結局雨が降ってしまい、傘を差しての観光となった。
最強の雨男・雨女コンビなので、仕方あるまい。
道中、駅のロッカーに毛糸の帽子を預けたのをずっと後悔していた。
寒かった〜
↑トイレの表示まで鬼太郎。徹底してる。
↑床屋もこんな。窓には「ゲゲゲの鬼太郎のヘアーサロン」と書いてある。
100体以上ある妖怪ブロンズ像もすごいが、こういう地元の人が独自に飾っているものが面白い。
とにかく何もかもが妖怪まみれの中、くまのプーさんのぬいぐるみを置いている店があった。
「彼も針のむしろの上にいるような気持ちだろう……」
とDちゃんが言っていて、ウケた。
道沿いには妖怪関連のおみやげ屋がいっぱい。
中でも目を引くのが、こちら。
「妖怪食品研究所」というお店の「妖菓 目玉おやじ」
艶やか! 鮮やか!
実はこれ、和菓子なのです。
中にあんこが入ってます。美味しい。
↑遊び方の写真も。激しいな、姉さん。
昼食は、長右衛門という店で水炊きを。
寒かったので助かった。
その後、もうちょっとウロウロ。
↑小豆洗い
「小豆とぎ」とも言いますね(アニメではこう呼んでいたはず)
私が一番好きな妖怪。
川で小豆をとぎながら、
「小豆とごうか、人とって食おか、ショキ、ショキ♪」
と歌うのです。
そのくせ、小豆ばばあに悪巧みを持ちかけられると、
「おら、人とって食ったことねえだ〜」
と泣き出す。
ああ、なんて可愛い。
とっとと和菓子屋に就職してしまえ〜
↑油すまし
水木しげる作品より、立花晶の漫画「サディスティック・19」の登場人物としての印象が強い。
すまちゃんと呼ばれ、戸袋に入ったりしていた。
↑悪魔くんとお人好しメフィスト
ブロンズ像の写真を撮り始めるとキリがない。
ひとまずやめにして、水木しげる記念館へ行くことにする。
↑入り口の、のんのんばあとオレ
ここには、水木しげるの若い頃の絵画も展示されている。
色彩が美しく幻想的で、当時から才能があったんだなぁと、見惚れた。
これは京極夏彦プロデュースの中庭。
この立て札が良い。
「この庭園は妖界につき、立入りはご遠慮下さい。」
↑あっ、ねずみっ
こんなのもあったり。
なかなか楽しかったです。
トイレには、
「鬼太郎も 使った後を ふりかえる」
という標語が貼ってあった。
どんな所にも手を抜かないな、鳥取県民。
Dちゃんは会社におみやげを買わなければいけない。
あの目玉和菓子……は刺激が強過ぎるというので、妖怪饅頭を。
もうそろそろ帰る時間。
寂しいね。
さらば、ねずみ男。
↑握手する人が多いらしく、手がピカピカしている。
水木しげるロードの一番人気は目玉のおやじだったな。
↑お酒にもなっているようだ。
↑目玉のおやじ街灯に明かりが灯る。
境港駅に着くと、ちょうど10分後に電車が来るとのこと。
本数が少ないので、ラッキーだ。
しばらくすると……
ねこ娘列車だー!!
↑シートもねこ娘。
妖怪のみんな、さよ〜なら〜
そのまま米子空港へ。
ここで1日目と同じように炉端かばに入る。
店員さんは私たちのことを覚えていてくれて、
「2日間連続で使ってくださってありがとうございます」
と、カマボコに山いもを通してスライスしたものをサービスしてくれた。
Dちゃんはさしみ定食を食べながら、
「タコがやわらかい。やっぱり産地から近いと魚介類は違うんだね〜」
としきりと感心している。
この店を選んだのは本当に正解だった。
他にもお客さんがいっぱい来ている。
食事後、おみやげ屋でらっきょうなどを買う。
鳥取はカレーの消費量日本一だというけれど、それはきっとらっきょうが美味しいからだと思う。
どの料理屋でもメニューにカレーが入っていて、必ずらっきょう付きだった。
搭乗手続きを済ませた後、内側(飛行機乗り場に近い方)の店で大山のソーセージを購入。
ビールと一緒に食べたのが忘れられない。じゅるる。
飛行機の席は、プレミアムクラス。
直前に予約したから、普通席が無かったのだ。
ゆったりしているのは良いが、乗務員のお姉さんが妙に親切で落ち着かない。
上品なもてなしに慣れてない貧乏人。
私のことなんて気にしないで、他のお仕事頑張って…… という気分に。
プレミアムクラスだけに付いてくる弁当(さっき夕飯食べたばかりなのに!)をモシャモシャかっ込んでいたら、あっという間に羽田到着。
鳥取って近いのね。
モノレールやJRを乗り継ぎ、自宅に着いたのは夜の11時半頃。
おみやげのふろしきまんじゅうと緑茶をいただき、旅終了。
お疲れ様でした〜
↑素朴な味がたまらない、ふろしきまんじゅう。
関東に戻ったとたん、急にもたげる不安感。
放射線量を計測しているサイトを見てみたら……
上がってる!!
2日間関東を離れていれば、少しは良い方に向かうと思っていたのに。
ビールの味や妖怪のことを思い出しながら、この厳しい現実を生き抜くよ。
誰だって死んじゃうんだ。
その前に、目一杯、楽しんでやる!!
(鳥取旅行記 おわり)
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2011年06月30日
鳥取旅行記(妖怪編)
posted by 柳屋文芸堂 at 22:57| 【旅行記】鳥取旅行記
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