2010年08月05日

たわむれ(その3)

歯が折れる 前歯がボロッと 折れる夢
           不安なんだな 不安なんだな



 歯が折れたり抜けたりする夢を、よく見る。特に前歯。

 二年程前、右前歯の神経が化膿し、歯医者から、
「もしかしたら抜く事になるかもしれない。」
 という宣告を受けた。
 その時は治療が上手く進み、抜かずに済んだのだが、
「歯が無くなってしまうかもしれない。」
 という恐怖は、傷跡のようにそのまま残ってしまった。

「歯が無くなるくらいなんだ。死ぬ訳じゃないし。」
 と思う人も多いだろう。私も自分に何度もそう言い聞かせた。しかしおそらく私の中で、歯というのは「生命」の一つの象徴なのだ。だから「歯が無くなる」というのはすなわち、
「私という存在が少しずつ損なわれ、死に近付いてゆく」
 という恐怖につながる。

 体が弱って来ると、ずっとおとなしくしていた菌(ウィルスだっけ?)が突然大暴れして帯状疱疹になるように、私の場合、心が弱って来ると、その恐怖がふっと夢の中に姿を現す。

 今ではちょっとした心のバロメーター。
 夢の中で歯が折れたら、無理しない事。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:16| 【短歌】たわむれ | 更新情報をチェックする