2010年08月05日

たわむれ(その7)

これだけが 頼りなんです あの時に
          クマさんポーチに 白い錠剤



 何だか思わせぶりな歌だけど、私がいつも持ち歩いているのは痛み止めの「イブA錠」だ。生理が始まった直後にこれを飲まないと、ひどい苦しみを味わう事になる。一分一秒が命取り(これはちょっと大袈裟。でもその時はそれくらい焦る)なので、いつでもどこでも飲めるよう、ポーチの中に箱ごと入れ、常にカバンの底にひそませている。

 私のポーチは無地で、そっけない。クマさんポーチを持っているのは、私の心の中に住んでいる女の子だ。かつて毎日飲んでいた、今は決して飲む事のない、精神を安定させるための白い錠剤。それがカバンの中にちゃんと入っているかどうか、出かける前に必ず確認する。

 彼女は私の不安が具現化したもの。
 いや、もしかしたら。

 世の中全ての女の子の不安。
 世の中全ての男の子の不安。
posted by 柳屋文芸堂 at 00:12| 【短歌】たわむれ | 更新情報をチェックする