2010年08月04日

たわむれ(その10)

死んでいる ような気持ちで 生きている
               虚無と狂気は 君の友だち



 自分が生きているのか死んでいるのか、分からなくなった事がある。

 最初に就職した会社での仕事が上手くいかなくて、心が餓死しそうになった時だ。ある種の仕事が心に全く潤いをもたらさず、逆に大切な何かをどんどんすり減らしていくという事を、その時、初めて知った。

 芸術が食べたい。思う存分芸術が食べたい。

 そうしないと本当に、私の心は死んでしまう。心が死ぬと、体がまだ生きている事なんて、どうでも良くなる。
 すでに数回、総武線の線路に吸い込まれそうになり、危ない思いをしていた。いや、もっと正確に言うなら、線路に落ちた自分と、ホームに立っている自分の差が、分からなくなっていたのだ。

 仕事で死ぬなんて、バカバカしい。私が死ぬ時は、男で死ぬのよ。
 私は早々に人間をやめるのをやめ、会社を辞めた。しかしこういう決断をする人ばかりではないだろう。

 死んだまま生きている人に対して、私は何をすれば良いのか。
 世界のあちこちに転がっている虚無や狂気と、どう付き合っていけば良いのか。

 答えは、まだほんの少ししか出ていない。
posted by 柳屋文芸堂 at 23:58| 【短歌】たわむれ | 更新情報をチェックする