2009年12月13日

ど素人「狂言」談義(その2)

・狂言との出会い

 狂言を生まれて初めて見たのは、高校生の時でした。
 学校の行事で、義務的に。

 実を言うと、この時はそんなに興味を引かれなかったんですよね。
「落語の方がずっと面白いじゃん!」
 なんて思っていました。

 数年後、能に詳しい友人が出来まして、彼女が、
「能は難しいけど、狂言は面白いからすぐ分かるよ。」
 と言うのです。
 私は見知らぬ世界の話に「へ〜、そうなんだ」と妙に感心しました。

 けれどもその時はまだ、
「ではぜひ見に行こう!」
 とまでは思いませんでした。

 ある時、彼女のホームページで、狂言に関する面白い番組が放映される事を知りました。
 茂山家(「狂言と『家』」の章参照)のみなさんが、数回にわたって狂言と京都の町を紹介するという内容です。

 私はまた、
「へ〜、そうなんだ」
 と思いましたが、自分の好きな番組と時間帯が重なっていた事もあり、全部きっちり見る事は出来ませんでした。

(今思うと、何故ビデオで録画しておかなかったんだ、私〜! と悔しくて仕方ないのですが……)

 自分の好きな番組がCMに入った間だけ、ちらり、ちらりと見ただけ。
 それなのに、すごくインパクトがあったんですね。

 まず、私と同い年か年下くらいの若い狂言師が、腹の底から響かせる、ゆったりとした、全然リアルじゃない声の出し方(狂言の舞台でセリフを言う時と同じやり方)で話していました。
 記憶があいまいで申し訳ないのですが、確か京都の普通の道端で、普段着のまま、自己紹介をしていたと思います。

 私はその、日常と非日常の入り混じった違和感に、
「どうしちゃったの?」
 と目が点になりました。

 そして、茂山千作さんの「狂言の演技講座」がありました。
 その時はまだ名前も知らず、
「きっと名のあるじいさんなんだろうなァ」
 と思いながら見ていたのですが(後で人間国宝だという事が分かりました)、まあ、このおじいさんの可愛らしい事ったら!

(人間国宝をおじいさんと呼ぶなんて、失礼なのは十分承知しています。
 けれど実を言うと、私は心の中で茂山千作さんを「千作じーちゃん」と呼び、自分の本当のおじいさんのように親しく思っているのです。)

 一番印象的だったのは、笑いの演技です。
 笑いには小・中・大と種類があると言い、それぞれをやって見せてくれました。
 その「大の笑い」が圧巻。

「はあーーーーっ。はあーーーーっ。はあーーーーっ。はあーーーーっ。」

 そんな笑い方があるかよ! とツッコミを入れたくなるような大袈裟さ。
 けれど、福の神が地に降り立ったような、現実を超える何かがありました。

 狂言は、何だか面白そうだ。
 何より、可愛い。

 その思いはどんどん膨らんでゆき、ついに私は、狂言の世界への扉を自ら開く事になったのでした。
posted by 柳屋文芸堂 at 21:57| 【エッセイ】ど素人狂言談義 | 更新情報をチェックする