2008年10月21日

その音の響く夜に(その4)

 誰かにいじられた様子もなく、砂袋は先ほどと同じ形で荷車に積み上がっていた。
「じゃまになってどかされたりもしなかったみたいだな。」
 なっちもほっとして、荷台全体をよくよく見た。木の表面は古び、ささくれ立っている。
「こういうの、リアカーって言うんだっけ。」
「大八車だよ。」
「へーえ。いっぱい物が運べて便利そうだね。」
「そんなに珍しいか?」
「うん。」
 目を輝かせるなっちに対して、少年は首を傾げつつも、ずっしりと重たい大八車を引き始めた。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:48| 【中編小説】その音の響く夜に | 更新情報をチェックする