2008年10月21日

その音の響く夜に(その6)

 なっちはすっかり忘れていた。
 夏祭りの前の日まで、タオルケットも蹴飛ばさずにはいられないような熱帯夜が、連日続いていた事を。
 一太の背中の熱をこんなにも快く感じてしまう、急激な気候の変化に対する違和感を。
 長屋の壁をなでる冷たい風が、全てを知っているような声で、ひゅう、と鳴いた。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:46| 【中編小説】その音の響く夜に | 更新情報をチェックする