2008年10月21日

その音の響く夜に(その13)

 なっちにも「一太と銀の暮らしはどこかおかしい」と思う気持ちがなかった訳ではない。けれども割とすぐに、
「それぞれの家によって、違った生活の仕方があるんだな。」
 と納得してしまった。なっちは頑固な上に勝気ではあるが、自分の家のやり方だけが正しくて、他は全部間違っている、と思うような排他的な子供ではなかったのだ。
 だから今まで全く見聞きした事のない、職人の世界や、そこで見習いをしている男の子の言葉を、存分に吸収しようとした。
 そしてそれが、とても楽しく感じられた。
posted by 柳屋文芸堂 at 22:40| 【中編小説】その音の響く夜に | 更新情報をチェックする